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建築カタリストのリノベ・建築よもやま話

見積に良いも悪いもない!

あなたにとって良い見積とはなんでしょう?
逆に悪い見積ってどのようなものでしょうか?
見やすくて、自分の希望に近い金額のものが良い見積でしょうか?
では、思っているより高くて、詳細な内容がない見積は悪い見積でしょうか?

最近は住宅雑誌や情報誌もしくはネットなどでも、工事の見積は何社かとって(相見積)比べたほうが良い、なんてことが書かれていたりします。

たしかに1業種だけで終わるような単純な工事や、同じ大きさの同じタイプの商品を入れ替えるような工事であれば相見積も良いかもしれません。
ですがリノベーションや建築工事の場合、一般の人が相見積をとってみたら会社によってかなり金額が違ったりして、なんでこんなに違うの〜?って悩むことになってしまいます。

それは見積をしてくれた業者さんが悪いのではなく、見積をお願いする側が建築や工事を理解していないから起こってしまうものなのです。

平面図や立面図があればまだマシですが、図面もなく現地調査を業者さんにしてもらった程度で後は口頭で内容を伝えたりした場合は、見積の様式も違えば項目も違いますし、平米数や材料の数量が違うのは当たり前。時には項目自体が本当に必要かどうかさえも分からない見積が出てきます。

建築において答えは一つではありません。答えが無数にあるのです。
考え方ややり方が人によって違うだけで、どれも正しいなんてこともあります。

なのでプロが相見積をする場合は、図面があることはもちろん仕様書含め、明確に数字として各項目に必要な材料や数量の提示、素材のグレードから施工方法まで指定をした上で相見積をお願いするものなのです。

結局、建築の見積はそこまでしないと、プロでも比較ができないモノなんですよね。

そもそも、見積で建築工事の内容を本当に理解することができるのでしょうか?

見積というものは工事のすべてを表しているものではありません。
基本的に目に見える範囲での部分や通常の工事の平均的な概要を数字で表したものでしかないのです。

そこに業者は今までの経験から、見えない部分、予想ができない部分を想定し、施工した場合のリスクマージンを入れて見積を作成します。

会社の規模や付き合いのある業者によって仕入れ値も違いますし、職人の得意な技術や施工方法によっても価格が変わってきます。
また、リスクマージンは会社の規模・仕事に対する姿勢や考え方によっても違います。

様々な要素が絡み合っているため様式等を統一することもできず、出てくる見積の金額に幅ができてしまうんですね。

決まった値段の決まった商品を売り買いするだけなら難しくはないのですが、建築の場合は不確定要素や定義づけできないモノごとのほうが多いのです。
ですから見積の数字だけをみてどうこう言うのは、少し違うなぁといつも思ってしまいます。

建築カタリスト・コマツ

見積には良いも悪いもないんですよね。
どんな見積であれお互いが内容を理解していることが大切なのです。

さらに言うと、お客様と業者間で信頼関係が結ばれていなくてはなりません。
信頼関係があったうえでの見積書でなければならない
のです。

お互いの信頼関係ができていないのに工事をするから、何かあった時に見積書や契約書に頼らざるをえなくなる。

建築工事は金額も大きいしやり直しもきかない。だからムリな営業や安さだけで決めてしまったら、後で自分が後悔することになるんです。

リノベーションや建築においてお客様と業者は単にモノを売り買いする関係では成り立ちません。
また、何か問題があったときに対立すべき相手でもありません。
知識や情報を共有し、話し合い、確認しながら
よりよいモノ、よりよい空間をつくるために、共に戦うパートナーでなければならないのです。

見積の金額に幅があるように、それを見る側も心に幅を持って見ていただけるといいなと思います。