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建築カタリストのリノベ・建築よもやま話

建築はオーケストラ
現場監督は指揮者

建築はオーケストラみたいなところがあるんです。
オーケストラの指揮者はバイオリンを弾かせたらバイオリニストよりうまいわけではないし、ピアノが弾けたとしても本当のピアニストには技術で勝てない。
でも、作曲家の想いや演奏場所の特徴、聞きにくるお客様のことを誰よりも考え、オーケストラ全体のバランスをみて、どうやったらそれぞれ演奏者の技術を最大限活かせ、一人のプロの演奏者だけでは到達できないような感動させる音楽をつくれるかを追求しますよね。

建築ではその指揮者の役割が現場監督なんです。

企業で言う中間管理職とでもいったほうがわかりやすいですかね。
どこの企業も社長はたいてい無茶を言うもので、今年度は売り上げ目標を前年対比20%とかいきなり言うわけです。
上が勝手に決めた数字が下におりてきて、前年の数字でもむちゃくちゃ大変だったのにそんなのムリだとか内心思うわけです。
でも、それをやるのがお前の仕事だ!と言い切られて結局やらざるを得ない…みたいなね(笑)よくある話です。

すみません、話がズレちゃいましたので元に戻します。

建築士や職人さんの仕事は皆さんご存知の方がほとんどですが、実は一般の人にはあまりなじみのない現場監督さんが良い建築をつくるためにはとても重要な役割をしています。

建築士やデザイナーがお客様と打合せを何回もこなし、お客様の希望や想いを言葉や図面・模型など見えるカタチにします。

それを基に現場監督は期限までに予算内でどうやってつくるかを考え、毎日のように現場で起こるトラブルに対応しながら建築士や各業者・職人とやりとりをし、お客様の大切な家を完成させて引き渡す大切な役割を担っています。

建築士はお客様のために良いモノをつくりたいと考えます。
当然良い素材やモノを使えばコストは上がってきます。でも、お客様が払える金額は元々決まっている。
たとえコストがクリアできたとしても、何か変更があれば職人さんの段取りや材料の発注を変えなければならないし、最悪納期が間に合わないかもしれない。
それでも引き渡し日は変わらない。
そのムチャともいえる状況を納めてこそ現場監督。

良い工務店には必ず良い現場監督がいます。
ただ、現場監督は経験も知識もコミュケーション能力も高くないと成り立たないので、一人前になるのにはとても時間がかかります。
花形の建築士とかと違い現場監理の専門学校なんてありませんし、縁の下の力持ち的な現場監督になりたい人なんてはじめからいません。
だから、建築士を目指している1年目の若手とかを現場に放りこんで現場監理をさせるわけです。
でも、当然すぐに仕事が出来るわけではなく失敗ばかりして、現場が荒れて職人さん達に怒鳴られながら成長するというのが普通です。
それを乗り越え、建築の奥深さや面白さを分かってきてようやく一人前の現場監督になっていきます。

建築カタリスト・コマツ

建築あるあるだなぁと知っている人なら納得してもらえるとは思いますが、家をつくっているときには毎日のようにそんなやりとりが建築士と現場監督や職人の間でされているのです。

図面に全ての物事が描ききれるわけではないですし、建築士も人ですので完璧ではありません。
ましてやリノベーションであれば図面を描いた時には考えられないことや想定外のことがよく起こります。
そんなイレギュラーなことが起こった時ほど、現場を良く知っている監督や職人さんの知識や技術が試されます。

建築では段取り一つ、やり方一つでコストが何万円も変わってきてしまいます。それが難しいところでもあり、やりがいがあるところなのです。
予定通りいかないのが建築であり現場なんです。

お客様の理想をどんなことがあってもカタチにしようとする建築士。時間・コスト様々な制約の中で最善のモノを創ろうと努力する現場監督、自分の経験や技術・知識をフルに使って現場で最高の仕事をする職人。

それぞれがそれぞれの立場でお客様のために今できることを考え、コミュニケーションをとりながらみんなで協力してつくりあげていくのが建築なのです。