住まい選びは車選びに似ている
「賃貸と分譲、それぞれのメリット・デメリット」でも少しだけ触れましたが、僕は住まい選びも自動車のようにご自身の用途と好み、その時々のライフスタイルによって選ぶのが良いと思っています。
ある男性を例にしましょう。
彼はカッコいい車が好きなので、二十代で独身の頃はスポーツタイプの車に乗っていました。
やがて結婚し、週末に夫婦で大型スーパーに買い物に行くようになります。荷物を沢山積めないスポーツタイプの車はちょっと不向きですよね。そして、子どもが生まれたら乗り降りが楽で荷物も沢山積めるミニバンが良いねという話になるかもしれません。
さらに月日が流れ、子どもたちが独立して夫婦二人の生活になったらどうでしょうか。
ミニバンは二人には大きすぎるのでコンパクトなエコカーにサイズダウンするのも良いですし、遠出する機会が減ったのであれば軽自動車も良いでしょう。お買い物はネットスーパーの活用やご近所の店で済ませ、夫婦二人乗りでドライブが楽しめるスポーツタイプにもう一度戻るという選択も素敵ですよね。
しかし住まいの場合は、一度家を購入したら死ぬまでそこに住み続けなければいけないという思い込みがあるように思います。
そうではなく、自動車のように人生のそれぞれのシーンに合わせて住み替えることで、日々の生活をさらに快適にすることができるのではないでしょうか。
先ほどの男性の例で言えば、独身の間は都市部の賃貸マンションに住み、子育ての時期は郊外の家を購入、子ども達が独立したあとは同じ町の駅前地域や都市部のマンションへ移り、徒歩圏内で生活のほとんどを完結させるという暮らしの人生設計も可能なのです。
自動車を乗り換えるようにライフステージに合わせて家も住み替えるという考え方は、まだあまり一般的ではないかもしれませんが、自分の生活にもう少し目を向け、将来へのお金の使い方(ファイナンス)を考えることで、色々な選択肢が増えることを知ってほしいものです。
僕は建築のプロとして「こういう手段もありますよ」とこれからもご提案していきたいと思っています。